「うちの子、ちっとも食べてくれないんだよね」
小さな子供のいる母親どうしの間で、よく交わされる話題のひとつである。
が、私は、この言葉を聞くたびに、いつもひっかかってしまうのだ。
その都度「そっか。あんまり食べないんだ」と、さりげなく言葉を訂正するのだけど、気づいてもらえないことの方が多い。「そうなの、もう、全然食べてくれなくって」と返されてしまうのだ。
よっぽど「もしもし」と突っ込もうか、と思うのだけど、そんなことでいちいち角立ててもなぁ、それに、そんなに親しい間柄でもなし、ま、いっか、とその場では流してしまうのだけど、でもやっぱりひっかかるんである。
ひっかかったまんまでいるのは気持が悪いので、ぶちぶちとダンナにグチる。
「だいたいさー、何で、食べて『くれる』なんて言うかなぁ。そんなさー、食べて『もらう』ほどの、何様を育ててるんだ? って思わない? ねぇ? ねぇ?」
まぁた、コイツは、そんなしょもないことでトンガって、という顔で、ひとしきり私のグチを聞いたダンナが、ぽそっ、と言った。
「よそ様の、お・子・様」
この時は、思わず笑ってしまったのだけど、自分の子供のことを話すのに、どうして「食べてくれる」とか「食べてくれない」とか、そういう言葉を使うかなぁ。「食べなくってさー」でいいじゃんか、と私は思う。
食事というのは、食べて「もらう」ものではない。食べて「あげる」ものでもない。それが例え、自分が庇護しなければならない幼い子供であっても、食べる、という行為は、誰かが誰かのために、したりされたりすることじゃないはずだ、と思う。
あ、何かのっけから辛口なことを書いてしまいましたが、以前からずーっと思っていたことだったんですよ、これ。
で、どうして、何も疑問に思わずに、何も抵抗感なく、「食べてくれない」と言う言葉を使うハハたちが多いのか、私なりに考えてみたわけです。
結論から言うと、分かりませんでした(←をいっ)。私自身の感覚として、息子に「食べてもらう」という実感がないので、どうも今ひとつピンとこなかったのだ。
ただ、もしかしてこういうことかなぁ、という推測として思ったのは、
・好き嫌いなく何でも食べる人間になって欲しい
・好き嫌いなく何でも食べる→栄養バランスばっちり!→発育ばっちり!
こんな図式が、ハハの心の根底にあるんじゃないか、ということだ。いつの時代も、我が子にはすくすく育って欲しいと願うハハ心は不滅である。
で、ここで大事なのは、好き嫌いなく子供が食べるように、ハハたちが「好き嫌いをなくすようなご飯を作っている」ということなんじゃないか、と思う。
せっかく作ったバランスの良いご飯、だからこそ、子供が食べると「食べてくれた」と思うんだろうし、食べないと「食べてくれない」と思うのだと思う。
違うかな? とんちんかんなこと言ってたらごめんなさい。
でも。
好き嫌いのない子供、なんて、いないと思う。好き嫌いのない大人、がいないように。
私は食べ物に関しては、かなり好き嫌いのないほうだと自負しているけれど、そんな私にも嫌いなものはある。
自分からはすすんで箸を出さないものはあるもの。
子供時代は、今よりずっと嫌いなもの、食べられないもの、はあったもの。
大人になったら、毎食プリンだけでいい、とか、セロリなんて一生食べない、とか、そんな偏見さえ持っていたのだから。
私自身は、栄養バランスのいい食事を作ろうとか、好き嫌いをなくすようなメニューにしようとか、そういうのはあんまり気にしなくていいんじゃないかなぁ、と思っている。
そういう細やかな心配りに欠けている、といったほうが正しいんだけど。
いちいち気にしなくても、くどいものばかり食べてると、あっさり系が欲しくなるし、疲れている時は酢の物や煮物が食べたくなる。そういうふうに身体ってできてると思うし。
それよりも、何よりも、「楽しく食べる」「美味しく食べる」ことの方が子供には大事だと思うのだ。
それと、世の中にはこんなに沢山の種類の食べ物があるんだよー、ということを子供に知らせたい、ということ。食べるか食べないか、は別にして、こんな食べ物もあるんだー、と、食べ物に関しては、柔軟な気持で向き合って欲しい、と思う。
長じて「お初」な食べ物が出てきても、臆せずチャレンジして欲しい。それが例え、クジラのちんちんでも、松の木の根っこでも。
子供と食べ物、といえば、離乳食問題、もよく話題に出てたなぁ。
育児雑誌には、「ママの手作りメニュー」が、がんがん載ってるし、保健所とかの母親学級でも、「手作り」を奨励しているから、新米ハハとしては、そか、手作りしなくちゃかも、と思いがちだけど、そんなことはありません!(←経験則)
手作りが好きなら作ればいいだけの話であって、義務じゃないんだから、と私は思っている。作りたい気持があって、離乳食作りにかけられる時間があるなら、存分に作ればいいし、そうじゃなかったら、ベビーフードを活用すればいいんだと思う。
私自身、レトルトタイプの離乳食には、ずいぶん助けてもらった。子供さえ、べえーっ、としなければ、ベビーフードはメニューも豊富だし、それこそ栄養バランスだっていいのだから。簡単ぱぱっ、と食事の準備ができちゃうから、その分、子供と遊べるし。
ベビーフードは割高になるとはいっても、三食全部それで済ますわけじゃないのだから、ピンポイント活用する分には多寡が知れてるし。
大人とほぼ同じような食事ができるまで、って、実はそんなに長くないのだから、楽できることは楽すればいいんだと、私は思う。
そんなに長くないんだからこそ、手作りでいきたい、っていうのも、もちろんOK。
自分が楽な方、気が済む方、でいいんだと思う。
それよりも何よりも、食べることの基本の「き」は、「お腹が空くこと」だ。シンプル過ぎて忘れがちになっちゃうけど、ね。でもこれ、大事なことだよ。