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第101話    新宿豚

 Eメールが着いた!送信者は時々、お互いの近況報告をしている…
『超美人で、心優しく、誠実で、ひたむきで、しとやかで、気立てもよく、頭もよく仕事もでき、素敵な大和撫子である在阪某放送局報道記者。(こんな女性をほうっておくとは世の中の男性の目は節穴か!)…とここまで書いてください。事実はあくまでも正確に報道してください!』
 …と自分で言っている美人報道記者から。(お前はアホかぁ!)
 ワイは嘘を書くんは嫌いなんやけどなぁ!一応絡み合って離れないしがらみがあるさかいになぁ!いつ何時に世話になるかもしれへんしなぁ?
 この某局美人報道記者も『本の雑誌』(紙版)の古い読者である。
 大阪のマスコミ関係者、構成作家やライターには昔からの本の雑誌(紙版)のファンが多い。みんなウエちゃんを見るとキョロキョロと周りを確認しながら近寄ってきて周辺には誰もいてへんのに、「ここだけの話やけどなぁ、昔から読んでるでぇ!本の雑誌!」
 と小声でヒソヒソと教えてくれる。
 どぉも本の雑誌を読んでいると言う行為は耳元で「コソコソッ!」…と呟かないといけないらしい。(なんでやねん!)
 半年ほど前に合った関西最大手の芸能事務所の某新喜劇の脚本家からも、
「誰にも内緒やけどなぁ、あれぇ読んでるでぇ!」
 と耳元で囁かれた事がある。しかし本の雑誌(紙版)がこんなにも多く他人には内緒の隠れ読者がいるとは…喜べ!発行人・浜本!

 その某局の自称・大和撫子報道記者からのEメールは、
「私の事が本に出てんねん!ウエちゃん、読んでくれへん?」
 という内容である。
 しゃぁけど、なんで関西人は手紙やメールが関西弁なんやろぉねぇ?
(おぉ~、そうか!それは買わないといけない!)
 とダッシュで血圧と心拍を上げて近所の本屋さんへ。
 あった!それもご丁寧に上下巻と1冊ずつだけ合計2冊ある。
(あいつが出てるんは上巻かいなぁ?下巻かいなぁ?どっちやろぉ?)
 ここの本屋さんは周辺の書店に比べてそこそこ大きいのにウエちゃんの本は1冊も仕入れたことがない無礼者書店である。
 それやのに美人報道記者が出ているという本は1冊ずつでも上下巻が置いてある。ううぅぅぅ…!咽び泣きながら上下巻の2冊の本を買い売切れ御礼。
 買った本はめっちゃオモロい!不肖ウエちゃん、大笑い!
 書評は専門家に任せるとして戦争バブルの爆笑従軍記です。
◆『儂(わし)は舞い降りた・ アフガン従軍記/上』(宮嶋茂樹/祥伝社)
◆ 『儂(わし)は舞い上がった・アフガン従軍記/下』(宮嶋茂樹/祥伝社)

 2週間続けて東京ネタですんまへん!
 最近毎朝、6時30分から関西でもネットをしている東京MXテレビの『モーニング東京』…という番組を1時間ほど見てから寝ている。特に月曜日から木曜日の担当の『白沢みき』…と言う若作りのオネェちゃんが強烈である。完全に女・浜村淳状態!喋る!喋る!酸素は大丈夫か?過呼吸にならんのかぁ?…と心配するほどの言葉の一斉射撃。アイツ、いったい何者なんやぁ?絶対に口から生まれてるな!東京MXテレビを視聴可能な方は必見です。気絶しまっせぇ!

 なんで東京と大阪はエスカレーターの乗り方が違うねんやろぉ?不思議やぁ!ほんでこの乗り方の分水嶺はどこなんやぁ?
「札幌や名古屋の人はどないするんやろかぁ?」…とか、
「博多や鹿児島なんかの九州はどんなん?」…と色々な事を考えてしまう。
 大阪を含む関西地区はエスカレーターに乗り、急いで歩く時には立ち止まる人が右に乗り左を空けてイラチの人が左を「どっこいしょ!」…と歩く。東京は左によって右を空け、急ぐ人は右側をスタスタと歩いて行く。ん~!やっぱり東京はなんでもスマートでんなぁ!
 東京でのテレビ収録の前日、本の雑誌社に寄り京王線笹塚駅から新宿へ出てJRの山手線に乗換えるのにエスカレーターに乗った。その前に京王線新宿駅の売店に『京王線限定販売のりんご飴』…と書いてあったので喜んで買い飴ちゃんを口の中でロレロレする。そして気を抜いてエスカレータに乗ってしまった。
 後方で「ゴッホン!ゲホゲホッ!」…と言うワザとらしい咳払いがするので振り向くと後は長蛇の列。げっ!いつもの癖で右側に立ち止まってしまった。
「エライ、すんまへんなぁ!」…と言って慌てて左に寄ると咳払いのサラリーマン風の男が「なぁんだ、大阪の人かぁ!ふふふ!」…と言いながらウエちゃんを流し目で見て上がって行った。
 4~5人が上がって行った所で若い学生風の男がウエちゃんを睨み付けて、
「なにやってんだよぉ!豚ぁ!」
 と一言残して上がって行った。
 うぅぅぅ…!ウエちゃん、ショック!85キロしかあらへんのに…
 生まれてからそんな罵声を見ず知らずの他人から浴びせられたのは初めてだ!思わず心の中で「まいう~!」…と言ってしまう自分が悲しい。

 京王線から出てJR新宿駅の西口付近で妙な機械を発見した!
「なんじゃ、こりゃぁ!…??」
 こんなモン生まれて初めて見た!やっぱり東京は何でもありまんなぁ!
 近づいてその機械を覗き込むと『名刺作成機』(30枚千円)…と書いてあったと思う。違うかもしれない。誰かもぉ一回見てきてくれい!
「こんなんあったら自分が誰にでも変身できるんとちゃうのん?」…と思いながら操作方法を見ながらふと、本の雑誌社の敏腕即直帰営業マンの杉江を思い出す。
 ウエちゃんの20年近い営業マンの経験では、直帰の電話を会社に入れる時にはほとんど自宅の近所まで帰っているか、阪神甲子園球場の駅前から電話をしているのが常識である。まぁ、これは大阪での常識やけどねぇ。自動名刺作成機でどうして杉江を思い出したか?ここは杉江の営業の通り道である。
「あいつ、ひょっとこいたらここで『本の雑誌社副編集長』…の名刺を作ってるんとちゃうかぁ!」
 と思いを馳せながら自動名刺作成機の操作方法を眺めていた。
「おぉい!何してんだよぉ!早くしろよぉ!」
 と言う声が突然後から聞こえて来た。
 びっくりこいて振り返ると、
「今から名刺を作って他人に変身してどっかの女を騙ましたんねん!」
 というような顔をした男が立っている。
「あっ!悪い!初めて見るさかいにちょっと見てただけやねん!エライ、すまんのぉ!」
 とウエちゃんが謝って場所を空けると男は、
「なんだょぉ!でんがな、まんがな、かよぉ!やってられねぇよぉ!」
 とウエちゃんが大人しい事をえぇことにエラソーに言うではないか!
(でんがな、まんがな!…なんじゃそりゃぁ!)…と思っていると、
「ちぇっ!豚ぁ!」
 と又もや見ず知らずの男に言われてしまった!
(げっ!ショック!まいう~!)
 1時間のうちにアカの他人から、生まれて初めて合う人から『豚ぁ!』…と言う言葉を2回も浴びせられてウエちゃんはもぉ立ち直れない!
 東京はめっちゃ恐ろしい街や!勝手にでんがなまんがな人…にされてしまうし。
 悲しみの泪をぐっと堪えて、
「小春ぅ~!待っとれよぉ!」
 と(なんでやねん!お前は坂田三吉かぁ!…とここで突っ込む!)、天童よしみの『道頓堀(とんぼり)人情』…を口ずさみながら山手線ホームで大都会の罵声に打ち拉がれて電車を待つ、ナニワのタクシー運転手のウエちゃんでした。

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