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<清原と三島>

ジャイアンツの清原を見るたびに思うのは、
 
「三島由紀夫に似てるなあ~」

ということです。私はジャイアンツのことに関しては、情報が視神経から脳に伝わる段階で無意識にシャットアウトされるので、どんな選手がいるとか、今セリーグ何位だとかそういうことは知らない。選手の顔も知らない。清原に関しては、西武時代、日本シリーズでジャイアンツに勝つ直前、嬉し泣きをしてたので「見どころあるヤツ」とみて顔は市っている。なのにFAでジャイアンツに入りやがったということで「一瞬でも見どころあるヤツなんて思ったボクのバカー!」という怒りによって、神経遮断が激しくなっていて、最近の動向はまったく知らなかった。

しかしある日、テレビで「静聴せい!」と叫んでいる三島由紀夫が映ったので、憂国忌でもないのになぜ今頃、と思わず画面に見入ったら、三島由紀夫ではなくてそこには清原がいたのだった。「テレビに映る三島由紀夫は、静聴せい!と叫んでいる」という先入観が、私に幻聴を聞かせてしまったらしい。

ジャイアンツの清原に興味はないが、三島由紀夫に似ている男・清原なら興味はある。

いつから清原ってこんなんなったんだ? あの髪型、あのモミアゲ。ボディビル後の三島由紀夫そのものである。西武時代はこんなふうではなかった。もっとも三島由紀夫から遠い男だったと思うのだが。ナンシー関の名言で「清原はお母さんのお腹に五年ぐらいいた感じ」ってのがあって、確かに羊水につかりすぎたようなふやけ方をしてた。それが大物感をかもしだしていたのだが。そういやナベツネに悪口言われて発奮して肉体改造を始めたとか言ってたな(遮断していた情報が脳に達する前にたまっていたのが、水門がゆるんでちょっと脳に流れ込んだことにより思い出した。正しい情報かどうかは定かでない)。肉体改造。ルックスだけでなく行動も三島由紀夫にそっくりではないか。三島由紀夫が生きてたら、清原見て「た、たまらん」と思うのか、それとも「マネすんなよ!」と思うのか。私の予想としましては、顔をひきつらせながらも対談相手に指名、か。で、不自然なぐらい持ち上げる。掲載誌は『ターザン』。グラビアは、二人とも上半身裸。……いや、背の高さが違いすぎるからそれは拒否するか……でも「あえてやるのがいいんじゃないか、はっはっはっ」と大笑してカメラの前に立つか。

で、顔をひきつらせつつ、清原に恋してしまうんではないか。こいつはオレの生まれ変わりなのだ、とかなんとか思い込んで(まだ自分は死んでないのに)。(どうも私は三島由紀夫というと、“面白い人だ”というのがまずあるもんで、シリアスに考えられない)(でも清原に恋するって、これはシリアスな恋か)

『豊饒の海』4巻を読み始めたら、面白くてやめられなり、「みんなこの小説がこんなに面白いってことを知ってるのか」と叫んだ。「輪廻転生」だの「大乗」だの「最終回の原稿を編集者に託してそのまま市ヶ谷で割腹」とか、そんな話ばかり聞いてたもんで「とんでもない高尚なお小説」なんだと思ってたよ。…………ものすごく下世話な話じゃないですか『豊饒の海』! めろめろのメロドラマじゃないですか。美女とかお公家さんとか美少年とかお姫様とか、登場人物も多岐にわたるうえ、下世話な行動のヤツ多し。男女の恋愛もあれば男男の恋愛もある(本多の、清顕への気持ちはどう考えたって恋愛だ)。ルックスから性格から、あらゆるタイプを取り揃えてあって、それがいちいちスベッたりコロンだりしまくる。「むせかえるような薔薇の香り……」とかいっちゃって、いちいちその気まんまんだ。高級中華のフルコースみたいな充実ぶりだ。私なんかから見れば、あらゆるタイプの男が揃っていて、さすが男好きの三島由紀夫はちがう、と感嘆させられる。期待しつつ『英霊の声』を読んだ時も「ええーっ、これって、こんな、見てきたようなウソを言うような“お話”で大丈夫なのか」と、アッという間に読み終えて衝撃を受けたが、『豊饒の海』のほうは、長いしストーリーは面白くて、まさに「巻置くを能わず」だったんで、こちらのほうは「嬉しい驚き」であった。フジテレビで『真珠夫人』的にドラマ化してみたらどうか。断じて月九とかじゃなくて昼ドラマで。冥界から三島由紀夫の憤怒霊が攻めてきそうであるが。キャストも考えたが、これも思い切って下世話なキャスティングが良い。聡子に黒木瞳とか安永透にSMAPの中居とか。でも中居くんが昼ドラには出てくれんか……。

そこで、清原をキャスティングしたらどうかと思いついた。清原和博初主演ということになると、これは昼ドラではダメで、映画になってしまうが、かえってそっちのほうがいいかも。三島由紀夫は、登場人物の中では、第二部『奔馬』の勲くんが好きだったらしい。確かに、盾の会関係の書物を読んでも、勲タイプを良しとして入会させていたようだし。なら『奔馬』映画化で清原主演。

……しかしそれではいかにもありがちだ(そうか?)。もっと、手術台の上のミシンと蝙蝠傘の出会いのようなキャスティングが必要だ。そこで考えた。第一部『春の雪』、松枝清顕。清顕だから清原、というダジャレじゃないが、それが見てみたいよ私は。最初から最後まで読んで、この清顕がいちばん三島由紀夫本人に近いような気がしたっていうのもある。いくらボディビル・ボディで武装しても、本人さんはああだったんじゃないかと、読み終わって思った。となると、清原がやるというのがエエのではないか。

とんでもないドラマになりそうだ。ま、実現の可能性は皆無だからいいか。

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